ランカウイ日記―ランカウイのブログ

いろいろありランカウイにも居を構えることになり数年。ランカウイに関するブログを書いていきます。

ランカウイ日記 37 ランカウイ再開発

 

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このブログを始めた時は、正直なところランカウイがテーマで読む人なんているのか? と思っていましたが、まだ絶対数は少ないものの、思った以上の方々が「ランカウイ」に関するキーワードでお越し下さっています。スターをつけて下さった方、コメントを下さった方、ツイートして下さった方、読者になって下さった方、心よりお礼申し上げます。

 

検索ワードで特に多いのは「ランカウイ」+「乗り継ぎ」「レンタカー」「タンジュンルー」。それから「MH Upgrade」。これらの内容に関しては、書き足すことが出てきた場合は、新しいエントリーを立てず、それぞれの元ページにちょこちょこ足していっています。そのほうが、情報が集約されて便利だと思うので。

 

ランカウイがテーマのブログの意味があるのかと不安に思っていた理由の一つは、近年はランカウイでの日本人旅行者の存在感が薄いからです。かつてはランカウイにも日本人が大挙して訪れていたようで、接客業に従事するマレーシア人に日本語を教える日本語学校まであったぐらいなのですが、いまはたしか閉校しているはず。15年ほどランカウイで店をやっているカナダ人の友人に聞くと「たしか昔は日本からの直行便もあったんじゃない?  たくさん日本から来てたけど、最近はほんとうに減ったわね」とのことでした。タクシーの運転手に聞くと「とにかく今は中国からの中国人。夏はアラブ人が多いね。日本人あんまり来ないね」とのこと。ホテルでも以前は日本語を話せるスタッフが重宝されましたが、今は、アラビア語を話せるほうがありがたがられるでしょう(中華系マレーシア人がいるのでそもそも中国語の話し手は多い。アラブ人は英語を苦手とする人が多い)。このほかに、個人的に旅行者で多いと感じるのは、英国人、フィンランド人、オランダ人、ドイツ人ですね。

 

今、ランカウイは再投資の話で少し浮き足立っています。政府が大きな投資を行いランカウイをより儲かる島にしようとしていて、今後より多くの旅行者に来てもらおうとしています。現在も多くのホテルが建設中で、高級ホテルだと、セントレジスがすでに完成間近(Westinのすぐそば。できたら行ってみます)。リッツもくるとか。土地を持つマレー人はこれは高値で売るチャンスだとそわそわし「今買っとくと、ぜったい値段が上がるから儲かるよ」とお金持ちの外国人に近づいています。僕はお金持ちではないのですが日本人だからか「この一区画の土地と家10軒、買わないか? 家賃収入を得るのもいいけど、今ある家に住んでいる人はでていってもらって、ホテルを建てるといいよ」などという話を持ちかけられることがあります。ただ、冷静な人々、特にランカウイに長く住む西洋人は懐疑的。現状でも全ホテルの年間平均稼働率は3割ほどしかない、という数字をあげる人もいます。政府の数字では年間300万人がランカウイを訪れているようですが、この数字がどの程度正確かは分かりません。どのマレーシア人に聞いても、政府の数字は信用ならん、やつらは数字を盛るから、という答えが返ってきます。

 

今後の大幅な旅行者数の増加があるか? 確かにこの島のリゾート島としてのポテンシャルは高いと思いますが、どうだろう、僕は難しいような気がします。日本のクールジャパン戦略と一緒で、いくら良いですよここは、と声だかにうたったところで自然に観光客が増えるわけではありません。巧みな広告戦略、航空会社の協力といったアクセスの強化、旅行者の受け入れ態勢の準備、そういった様々な要素が有機的に機能すればうまくいくでしょう。いずれにしても、個人的には現状ぐらいの旅行者数がちょうどいいのではないかと思っています。というのも、この島の最大の魅力である手つかずの自然を守りつつ、より多くの旅行者を実際に受け入れる体制を整える技量は現在のマレーシア政府にはないから。その顕著な例は、長期にわたる大規模プロジェクト完遂能力がないこと。政府主導に限らずマレーシアでは非常に多いのですが、大風呂敷を広げるものの、資金不足や適切なマネジメント不足で未完に終わるプロジェクトの多いこと。ランカウイで車を走らせると建物が1割くらい出来た状態で野ざらしになっている物件を見かけることがあり、現地の人に聞くと「ホテルか何か作ろうとしてたみたいだけど、ほったらかしになってる」という、そういう例がけっこう目に付きます。最近の大きな計画では、例えば、チェナンビーチの南端、アセアニアの向かいに建設中のチェナンレジャーパーク。バンジージャンプが出来て、魅力的なテナントが入居し、チェナン通りの一番の人気スポットになるとの触れ込みで建設が始まり、昨年の夏には完成だったはずが、現在もほぼ空き地。経営陣は現場の担当者を総入れ替えするものの、いまだ進展はありません。建物が完成しても、安心できません。例えば、Seri Cenangという高級ホテルが昨年出来たのですが、建物ができて開業したと思ったらあっという間につぶれました。マネジメント能力の不足で結局、休業になったようです(立ち上げ時の現場スタッフとして働いていた友人から聞きました)。

 

地元のマレー人の多くは、再開発に期待しているし、成功を信じています。20年ほど前までは、貧しい漁村の島だったランカウイ。観光化にともない一部の抜け目ない人は土地の売却や建設業で財を成し、たいしたお金を稼いでいなかった多くの漁師もタクシーの運転手になり結構な日銭を稼ぐようになり、やはりいい思いをしているんですよね。再開発、大いに結構じゃないかと。でも、一部の環境問題に意識の高い地元の人、長く住んでいる西洋人などからすると、もうこの辺でやめとこうよ、これ以上ランカウイを損なうことはやめようよ、という気持ちになってる。親しい英国人の友人や前述のカナダ人などとこの件について先日話したのですが、結論は「彼らに金持ちになるなという権利は私たちにはない、なぜなら彼らの島だから、だけど、願わくは上手くやってほしい。でも、それは難しそうだな」というものでした。